IDC × 東芝様 × 弊社CEO対談インタビュー :「今日の最大のサイバーセキュリティ課題とは」

ユーザー企業、脅威インテリジェンスプロバイダー、そしてIDCのセキュリティエキスパートの視点から見たセキュリティ動向や今後の展望について語る、3部構成のビデオキャストです。IDC Asia Pacificのトラスト&セキュリティリサーチ担当バイスプレジデント Simon Piffの進行の元、企業代表として株式会社東芝 サイバーセキュリティセンター長 天野 隆氏をお招きし、CYFIRMA CEOのKumar Riteshが参加。主に以下のテーマを中心に、セキュリティリーダーの皆様へ有益な示唆をお届けしています。

◆第1部「今日のサイバーセキュリティにおける最大の課題とは」
アジア地域の企業や組織が直面しているサイバーセキュリティ課題や懸案事項についてディスカッションを行っています。
国家支援型グループによるサイバー攻撃や、経済的な利益を目的とするサイバー犯罪者の活動を踏まえ、最新のサイバー脅威情勢を中心に解説しています。

 

 

◆第2部「サイバーセキュリティとリーダーシップ」
長期化するCOVID-19によりこれまでの常識が変化する中、セキュリティ・リーダーに期待される役割の変化、効果的なサイバーセキュリティ戦略構築に必要な視点や対策とは何かといった疑問について議論を展開しています。

 

◆第3部「サイバーセキュリティ、DX、そしてトラストの重要性」
DXの視点から見たサイバーセキュリティとトラストの重要性をテーマに、リスク、セキュリティ、コンプライアンスなどの各要素がステークホルダー間の信頼構築に与える役割や影響について議論しています。また、第1、2部を総括しながら各自の視点や意見を交わしています。

 

各チャプター用の動画プレイヤーの再生ボタン、全画面表示等をご利用の上ご視聴ください。
お問い合わせやご不明な点がございましたら下記よりご連絡下さい。

「敵から見える自分を知る」重要性

「敵から見える自分を知る」重要性

サイバーセキュリティにおいて「敵から見える自分」を知ることは結構大事な要素です。
「自社の資産をすべて把握しているから大丈夫!」と言える組織がどれくらいあるでしょうか?存在を把握しているだけで、攻撃者から見たおいしさまで把握できていなかったりしませんか?
これは、自分の性格を考えてみるとわかりやすいかもしれません。自分が思っている自分の性格や態度は、周りの方々から見えている性格や態度とは異なっていることが多いと思います。(検索すると「他人から見た自分の性格診断」って色々出てきますね。)自分の主観で見ているとわからないことが周りの人に聞くと気づくことがよくあります。
これはサイバーセキュリティにおいても同じだと思います。自分たちでは資産を把握しているつもりでも、攻撃者から見たときにはまた違う見え方をしているかもしれません。例えば、外部に公開しているシステムは10個であると認識していても外部から見たら15個見えるかもしれないですし、10個の数は同じでも攻撃の容易さに繋がる情報の公開度が自分たちの認識とは違うかもしれません。このような内部から見た自分たちの状態と攻撃者視点で見た場合のよくある状態の違いは以下の点が上げられます。

・Webサーバーの前にあるCDNの負荷分散サーバー

・リモートアクセス用のVPNの存在、およびそのVPNのOS情報公開

・本番リリース前のWebや新規利用サービスのテスト環境や開発環境の公開

・既に終わったはずのキャンペーン用サイト

・昔使っていた(旧社名や統合前の子会社など)ドメインで動いているWebやメールサーバー

・保守メンテナンス用に一時的に開けていたはずのポート

これらの状態まで本当に内部から見て把握できていますか?なかなか内部から見ている限りでは把握することが難しいのではないでしょうか。攻撃者は物理的にアクセスするわけではなく、インターネット経由でサイバー攻撃を仕掛けてきます。もちろん攻撃対象の調査もインターネット経由で情報収集をしていて、上記のような状態の外部に公開されている資産の探索を丹念に行っています。
また、一時的に状態を把握したとして、守る側はそれで終わることができません。残念なことに、攻撃者から見える状態というのは常に変化します。新たな脆弱性は常に出てきますし、利用しているクラウドプラットフォーム側の仕様変更もありますし、外部に公開されている資産から得られる情報を増やすためにツールもどんどん進化しています。攻撃に使われるツールも色々ありますが、例えば、CDNの普及に伴ってDNSの不適切な設定を突いたサブドメインテイクオーバーを狙うため、攻撃対象を見つけるツールが公開されていたり、もともとはペンテスト用のツールであるCobalt Strikeがあらゆる攻撃者に利用されていることは有名なところかと思います。

攻撃者は皆様の気持ちは考慮に入れませんので、「自分たちはできているから大丈夫」、「自分たちは攻撃されない」といった前提で行動するのではなく、攻撃者に対して「攻撃に手間がかかりそう」「攻撃できそうなシステムが見つけられない」といったように攻撃者から見ておいしくない状態を常に保つことが重要です。
今回のお話は「敵から見える自分を知る」の一例ですが、攻撃を受ける可能性の軽減に役立ちます。しかし、攻撃者も常に進化していますので攻撃者の動向によって狙われやすい資産が変わってきます。より積極的なセキュリティ対策を実施するためには「敵を知る」ということの重要性についても意識していくことをお薦めします。

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ランサムウェアと株価

ランサムウェアと株価

最近、ランサムウェア攻撃による被害の報道をよく目にします。ランサムウェアの被害にあうと多くの対応費用が掛かります。復旧のための費用や、セキュリティ対策強化費用、被害にあったシステムが事業に直結している場合は遺失利益も発生します。2021年初めに30か国5,400人のITマネージャー(製造、生産部門のIT担当含む)を対象としたSophosの調査によると、このような費用は平均約185万ドルであったとのことです。ちなみに、身代金を支払った場合は平均約144万ドルだそうです。 

また、2020年のレポートでは国毎の費用も分類されており、日本は平均約219万ドルの費用が掛かっているそうです。他の国々と比べて、日本とスウェーデンが倍以上の費用を要しています。本レポートでは従業員数別など様々な切り口で分析していますので、詳細はSophosのレポートをご覧ください。 

さて、本題ですが、このようにランサムウェア被害にあうと多くの費用が発生します。では、ランサムウェア被害を公表した企業の株価はどのように推移するのでしょうか?セキュリティ担当部門としては、株価に影響があるから対策をしたい。と言いたいところですが、残念ながらさほど影響はないようです。 

Comparitechの研究者がニューヨーク証券取引所上場企業を対象に分析したところによると、以下の通りだそうです。 

ランサムウェア攻撃直後の株価は平均22%急落
最初の落ち込みは短命です。価格はほとんど1日以内に回復し、株価は平均10営業日以内に市場をアウトパフォームするように戻ります。
ランサムウェア攻撃後、株価は平均6か月で4.4%上昇し、NASDAQを11.2%上回りました。
調査したすべての株の中で、Ryukランサムウェアが株価に最大の悪影響を及ぼしました
ハイテク企業の株価は、攻撃が公表された後、最初は大幅に下落しましたが、6か月後には非ハイテク企業を上回りました。

 

本レポートはニューヨーク証券取引所上場企業が対象ですので、日本の企業はどうでしょうか?ランサムウェアと思われるサイバー攻撃被害を公表した東証一部上場企業10社の株価を簡単に調査してみました。 

調査方法は以下の通りです。 

・自社HP上でランサムウェアと思われるサイバー攻撃被害を公表している企業を抽出 

・公表日の株価、翌日、7日後、30日後の株価を調査 

・公表日が休日の場合は前日の株価を選定 

・翌日以降の日付が休日の場合は翌営業日の株価を選定 

結果は以下の通りです。 

・ランサムウェア被害公表日翌日の株価は平均0.5%下落 

・同7日後の株価は平均0.8%上昇 

・同30日後の株価は平均5.4%上昇 

ニューヨーク証券取引所上場企業の調査結果と比べて、日本の場合はランサムウェア被害の公表が、公表直後の株価にも影響を及ぼしていないことが分かりました。その後の経過もランサムウェア被害の株価への影響は見られません。日本の企業に投資をしている方々はアメリカよりもさらにランサムウェア被害に対して興味を持っていないようです。

セキュリティ担当部門にとっては、少し衝撃的な結果ではありますが、ランサムウェア被害に遭うことによる業務への影響と株価の動向に相関がなさそうであったとしても、これをもってしてリスクがないというわけではないですしセキュリティ対策をしなくてよいということにはなりません。別の調査では、半数がランサムウェア攻撃による収益の損失と評判の低下を経験し、42%は顧客を失ったとの調査結果もあります。

サイバーセキュリティは経営課題であることは再三言われていることですので、株価の動向に関わらず経営層も含めて適切なセキュリティ対策行う必要があります。 

◆参考文献

The state of ransomware 2020:

https://secure2.sophos.com/en-us/medialibrary/Gated-Assets/white-papers/sophos-the-state-of-ransomware-2020-wp.pdf

The State of Ransomware in Manufacturing and Production 2021:

https://www.sophos.com/en-us/medialibrary/pdfs/whitepaper/sophos-state-of-ransomware-manufacturing-production-2021-wp.pdf

How ransomware affects stock market share prices: report:

https://www.comparitech.com/blog/information-security/ransomware-share-price-analysis/

83% of ransomware victims paid ransom: Survey 

https://www.zdnet.com/article/83-of-ransomware-victims-paid-ransom-survey/#ftag=RSSbaffb68 

 

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国家が関与するサイバー攻撃と脅威インテリジェンス

国家が関与するサイバー攻撃と脅威インテリジェンス

将来サイバーセキュリティの歴史を振り返るとき、今年は大きな分水嶺となりそうです。
サイバー攻撃の背後には国家の支援があることは2013年のAPT1レポート以降、公に語られるようになりました。しかし、これまで日本ではサイバー攻撃の背後に国家の支援があることを明示的に言及されてきませんでした。それが今年に入って、名指しで明確に指摘するケースが相次いでいます。

2021年4月22日 警察庁長官

(前略)その後の捜査等を通じて、被疑者・関係者の供述をはじめ数多くの証拠を約200の国内企業等に対する一連のサイバー攻撃がTickと呼ばれるサイバー攻撃集団によって実行され、当該Tickの背景組織として、山東省青島市を拠点とする中国人民解放軍戦略支援部隊ネットワークシステム部第61419部隊が関与している可能性が高いと結論付けるに至りました。 

 

2021年7月19日 外務報道官談話

(前略)
3.我が国においても、先般、中国人民解放軍61419部隊を背景に持つTick(ティック)といわれるサイバー攻撃グループが関与した可能性が高いサイバー攻撃について発表を行いました。そして、今回のAPT40といわれるサイバー攻撃グループからの攻撃では、我が国企業も対象となっていたことを確認しています。
(後略)

 

2021年9月28日 サイバーセキュリティ戦略

 (前略)経済社会のデジタル化が広範かつ急速に進展する中、こうしたサイバー攻撃の増大等は、国民の安全・安心、国家や民主主義の根幹を揺るがすような重大な事態を生じさせ、国家安全保障上の課題へと発展していくリスクをはらんでいる。サイバー攻撃者の秘匿、偽装等が巧妙化しているが、特に国家の関与が疑われるサイバー活動として、中国は軍事関連企業、先端技術保有企業等の情報窃取のため、ロシアは軍事的及び政治的目的の達成に向けて影響力を行使するため、サイバー攻撃等を行っているとみられている。また、北朝鮮においても政治目標の達成や外貨獲得のため、サイバー攻撃等を行っているとみられている。さらに、中国・ロシア・北朝鮮において、軍をはじめとする各種機関のサイバー能力の構築が引き続き行われているとみられている。

 

このように、日本においても、国家が背後にいるサイバー攻撃が存在し、そして民間企業を含め被害にあっていることを公表し始めました。ちなみに、このような行為を「パブリック・アトリビューション」と呼ぶそうです。パブリック・アトリビューションについては、NIDSコメンタリーの論評が大変参考になりますので、先月まで本ブログで紹介していたCyber Capabilities and National Powerと合わせてお読みください。

さて、このような国家が関与しているサイバー攻撃が存在することがわかったとして、守る側ができることはあるのでしょうか。攻撃者の名前を報道で知ったとしてもどうすることもできません。ここで必要となってくるのが脅威インテリジェンスです。脅威インテリジェンスの構成要素のひとつである「敵を知る」ことに長けている脅威インテリジェンス提供会社であれば、国家が関与している攻撃者の情報を収集、分析しています。彼らの能力、攻撃の対象、攻撃に使われるインフラ、彼らの目的や動機、TTPと呼ばれる戦術・テクニック・手段などの攻撃者に関する情報を手に入れることができます。攻撃者の名前だけではなく攻撃者に関するあらゆる情報がテーブルに載ってくると自組織での活用イメージも湧いてくるでしょう。
ただ、その攻撃者の情報について、自分の組織内に収集・分析能力があればよいですが、なかなかそうもいきません。もし、そのようなことができる高度な分析能力を保有している組織であれば、国家が関与している攻撃者の情報を入手し、自分たちで、自分たちに関係のある情報を取捨選択して利用することもできます。もし、そこまでの能力を保有していない組織であれば、自分たちに関係のある情報に取捨選択してあるものを提供してもらう方がよいでしょう。

脅威インテリジェンス提供会社はたくさんありますので、自分たちが活用できる範囲を見極めたうえで選択することをお薦めします。

 

◆参考文献

国家公安委員会委員長記者会見要旨:

https://www.npsc.go.jp/pressconf_2021/04_22.htm

中国政府を背景に持つAPT40といわれるサイバー攻撃グループによるサイバー攻撃等について(外務報道官談話):

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page6_000583.html

サイバーセキュリティ戦略:

https://www.nisc.go.jp/active/kihon/pdf/cs-senryaku2021.pdf

国家のサイバー攻撃とパブリック・アトリビューション(NIDSコメンタリー:防衛研究所):

http://www.nids.mod.go.jp/publication/commentary/pdf/commentary179.pdf

 

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アタックサーフェス(攻撃対象領域)管理の重要性

アタックサーフェス(攻撃対象領域)管理の重要性

今回は、アタックサーフェス(Attack Surface)、日本語訳では「攻撃対象領域」と訳されるサイバー攻撃を受ける可能性のある領域の管理について考えてみます。

アタックサーフェスという言葉は便利な言葉で実に多様な領域をカバーしています。「サイバー攻撃を受ける可能性のある領域」という言葉を考えてみると受け手の属性によってさまざまな解釈が可能です。
例えばアプリケーションセキュリティの世界ではアタックサーフェスというと以下のように定義されています。

  • ・アプリケーションにデータやコマンドが出入りする経路のすべて
  • ・それらの経路を保護するコード (リソース接続と認証、認可、アクティビティロギング、データの検証とエンコーディングを含む)
  • ・アプリケーションで使用する重要データのすべて (シークレットとキー、知的財産、クリティカルなビジネスデータ、個人データと PII を含む)
  • ・重要データを保護するコード (暗号とチェックサム、アクセス監査、データ完全性、運用上のセキュリティ制御を含む)

「サイバー攻撃を受ける可能性のある領域」は他にはどのようなものがあるでしょうか。もちろんシステムは外せません。モバイル端末もサイバー攻撃を受ける可能性があります。ソーシャルエンジニアリングやメールを受け取る人も対象と言えるかもしれません。
これらすべてにおいて同じ考え方で対応していくことは難しいので、今回は、「外部攻撃対象領域(External Attack Surface)」の管理について考えます。

マルウェア感染について、最近侵入経路が変わってきていることにお気づきでしょうか。マルウェアはメールやWebアクセス、USBの3か所が侵入経路であるから、ここを徹底的に守るべき、という風に言われていた時代がありました。しかし、昨今、VPNシステムやリモートデスクトップ経由、ネットワーク機器やクラウドサービスなど別の侵入経路による被害が増えています。これらに共通する状況は「外部に公開しているシステム」であるというところです。
世界を取り巻く情勢によりリモートワークを推進するためのネットワーク環境やシステムが増えています。その結果、外部に公開されているシステムも増加しています。令和2年に発行された「情報通信白書」(総務省)によると、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は64.7%だそうです。利用しているクラウドサービスの内訳では、「ファイル保管・データ共有」が56.0%、「電子メール」が48.0%、「社内情報共有・ポータル」が43.0%とのことです。
日々のビジネスを円滑に進めるうえで基礎的でありながら重要なシステムがクラウドシフトしていることがわかります。
攻撃する側からしても外部に公開されているシステムは容易に探索が可能です。管理が甘いシステムをひとつでも見つければ、そこを侵入口として本来の目的を達成するきっかけとすることができます。何重かのセキュリティシステムを突破してメールでマルウェアに感染させるよりも少ない労力で済みます。

このように攻撃者の視点で見ると、外部に公開されているシステムというのは大変おいしい存在です。社内システムへ安全にアクセスするために導入したVPN装置やどこからでもアクセスできるように利用したクラウドサービス、クライアントPCが社外にあることが多くなったため導入したSaaS型のIT管理システムなど、攻撃者にとっては一度でも侵害できれば十分価値のあるものが増えています。

守る側である組織は、この点を意識する必要があります。攻撃者の視点に立てば、外部に公開しているシステムは野放しにしていいものではないことが分かると思います。ではどうすればいいのかを考える上で役に立つ考え方が外部攻撃対象領域管理(External Attack Surface Management)です。字面は難しそうに見えますが、実施内容は非常に単純です。

1. 外部に公開されているIT資産やシステムを把握する
2. それらに存在する脆弱性を管理する

いかがでしょう。大変単純な内容ですが、よくよく考えると「1.外部に公開されているIT資産やシステムを把握する」ことが意外と難しいものです。本社分は把握していても支社支店や海外現法、子会社など把握できていないシステムが多数あると思います。もちろん、攻撃者にとっては、目的を達成するための侵入口に過ぎませんので、そのシステムが本社管理かどうかは関係ありません。また、先のデータにあるとおり、多くの組織においてクラウドシフトが推進されつつあり、必ずしもIT部門が把握していないシステムも出てきています。オンプレ時代は台帳管理できていてもクラウドシフトの現状ではすべて管理できていないのが実情ではないでしょうか。

このように自組織では中々把握しきることのできない外部に公開されているシステムを発見するサービスが出てきています。弊社でも「攻撃者の視点」で「敵から見える自分を知る」ことのできるアタックサーフェス管理を支援するサービスを提供していますので、ご興味のある方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

◆参考文献

情報通信白書(総務省):

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/r02.html

Attack Surface Analysis Cheat Sheet(OWASP):

https://cheatsheetseries.owasp.org/cheatsheets/Attack_Surface_Analysis_Cheat_Sheet.html

 

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Cyber Capabilities and National Power -4- (いぎりすのやつ)

Cyber Capabilities and National Power -4-

「Cyber Capabilities and National Power」を読んでみるシリーズ第四弾です。

# ちなみに、弊社内の一部では本レポートを「いぎりすのやつ」と呼称しており、原題を忘れがちです。。。 

今回は、以下のカテゴリを見ていきます。

◆Cyber security and resilience <サイバーセキュリティとレジリエンス>

◆Global leadership in cyberspace affairs <サイバー空間における問題に対するグローバルリーダーシップ>

◆Offensive cyber capability <攻撃的なサイバー機能>

 

Cyber security and resilience <サイバーセキュリティとレジリエンス>

この章では主にサイバーレジリエンスについてレポートされており、特に民間企業や民間企業向けの国の取り組みについて言及されています。

In the private sector, the major obstacle to improving cyber resilience is the lack of willingness among companies to share information regarding cyber incidents. This is partly the result of cultural and structural factors. These include a general lack of familiarity with cyber-security issues among senior business leaders, an overreliance on government regulators to establish cyber-security requirements and traditional Japanese business practices that hinder collaboration between companies. According to government statistics, Japanese companies have been slow to integrate cyber security into their corporate governance, especially their risk planning.

抄訳「民間セクターでは、サイバーレジリエンスを改善する上での主な障害は、サイバーインシデントに関する情報を共有する企業間の意欲の欠如です。これは部分的に文化的および構造的要因の結果です。これらには、経営層の間でのサイバーセキュリティ問題に関する一般的な知識の欠如、サイバーセキュリティ要件を確立するための政府規制当局への過度の依存、および企業間のコラボレーションを妨げる伝統的な日本のビジネス慣行が含まれます。政府の統計によると、日本企業はサイバーセキュリティをコーポレートガバナンス、特にリスク計画に統合するのに時間がかかっています。 」

手厳しいですね。自助、公助、共助の考え方において、日本の民間企業は、共助の意識の欠如および公助への過度の依存体質があると指摘しています。また経営層にサイバーセキュリティに関する知識の欠如も指摘されています。この点については2015年に経産省が「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を発行し、サイバーセキュリティは経営問題であり、セキュリティ対策はコストではなく投資と捉え、セキュリティ投資は必要不可欠かつ経営者としての責務と明記していますが、中々浸透していないのが実感です。

そのサイバーセキュリティ経営ガイドラインについては、以下のような記述がありました。

The fact that these guidelines are based on the Cybersecurity Framework of the US National Institute of Standards and Technology illustrates both a tendency towards the adoption of the US view on cyber security and an absence of significant domestic innovation on the issue.

抄訳「これらのガイドラインがNIST(米国国立標準技術研究所)のサイバーセキュリティフレームワークに基づいているという事実は、サイバーセキュリティに関する米国の見解を採用する傾向と、この問題に関する重要な国内イノベーションの欠如の両方を示しています。 」

ここでも米国への依存度について言及されています。確かに米国やEUなど独自で基準策定をしていますが、確かに日本のセキュリティ関連のドキュメントの多くはNISTやENISAやその他海外団体のドキュメントを下地としたものが多いのは事実でしょう。その背景にはビジネスがグローバルで展開されている以上、何も参考にせず独自のドキュメントを作成するよりも片方参照とはいえ海外でも通じるドキュメントとする上では悪い選択ではないとも考えられます。

◆Global leadership in cyberspace affairs <サイバー空間における問題に対するグローバルリーダーシップ>

この章では日本のサイバー外交について述べられております。サイバー外交では、サイバー空間における法の支配の促進、信頼醸成措置の推進、能力開発に関する国際協力の強化という3つの柱がある旨と、様々な国や組織とサイバー外交を推進している旨が報告されています。

◆Offensive cyber capability <攻撃的なサイバー機能>

この章は題名の通りですね。皆様ご存じの通り、日本では難しい問題ですが、レポートでもこのように記載されています。

 The development of any offensive military capability is constrained by Japan’s military history and by current views on the post-Second World War pacifist constitution. Article 9 of the constitution denies the country the right to military forces of any kind.

抄訳「攻撃的な軍事力の発展は、日本の軍事史と第二次世界大戦後の平和主義憲法に関する現在の見解によって制約されています。憲法第9条は、国があらゆる種類の軍事力を行使する権利を否定しています。」

 Since 2015 the government has made additional reinterpretations to make it possible, under certain circumstances, to come to the aid of an ally even if Japan itself is not under attack. This shift is now also seen as allowing collective self-defence and active defence in cyberspace.

抄訳:「2015年以降、政府は、特定の状況下で、日本自体が攻撃を受けていなくても同盟国の支援を受けることができるように、追加の再解釈を行っています。この変化は、サイバースペースでの集団的自己防衛と積極的な防衛を可能にするものとしても見られています。」

所謂、集団的自衛権ですね。レポートではサイバー空間でも適用されるのではないかと分析しています。この章でもうひとつ、日米のサイバー空間における協力について言及されている箇所がありました。

The fact remains that, for the foreseeable future, Japan will probably remain reliant on its alliance with the US for any kind of offensive response to a cyber threat. It is notable that the 2015 guidelines for US–Japan defence cooperation include an entire section dedicated to cyberspace, setting out the circumstances under which the US can lend cyber support in Japan’s defence. The narrowest interpretation of the text would limit US assistance to the protection of Japanese critical information infrastructure used by US forces in Japan, but in the broadest interpretation the text is analogous to NATO’s Article 5, with a serious cyber attack on Japan being treated like an attack on the US.

抄訳:「近い将来、日本はサイバー脅威へのあらゆる種類の攻撃的対応について米国との同盟に依存し続けるであろうという事実は残っています。日米防衛協力に関する2015年のガイドラインには、サイバースペースに特化したセクション全体が含まれており、米国が日本の防衛においてサイバー支援を提供できる状況が示されていることは注目に値します。テキストの最も狭い解釈は、日本で米軍が使用する日本の重要な情報インフラストラクチャの保護に対する米国の支援を制限しますが、しかし、最も広い解釈では、テキストはNATOの第5条に類似しており、日本に対する深刻なサイバー攻撃は米国に対する攻撃のように扱われます。 」

2015年から日米間ではサイバー空間における協力について言及されていると記載されています。最近の話ではなく前からしっかりと考えられていたことがわかります。では、言及されているドキュメントではどのように記載されているか見てみましょう。

日米防衛協力のための指針(2015.4.27)
自衛隊及び日本における米軍が利用する重要インフラ及びサービスに対するものを含め、日本に対するサイバー事案が発生した場合、日本は主体的に対処し、緊密な二国間調整に基づき、米国は日本に対し適切な支援を行う。日米両政府はまた、関連情報を迅速かつ適切に共有する。日本が武力攻撃を受けている場合に発生するものを含め、日本の安全に影響を与える深刻なサイバー事案が発生した場合、日米両政府は、緊密に協議し、適切な協力行動をとり対処する。

確かに、サイバー事案が発生した場合は米国が日本に適切な支援を提供できる旨が記載されています。

サイバーセキュリティとレジリエンスの章でレポートされている内容は日本のセキュリティ業界にとって長年の課題が未だ解決に至っていないことを思い知らされます。また、これまで見てきた通り、国としての取り組みはともすると外から見ると遅い歩みに見えるかもしれませんが、米国追従と揶揄されつつも着実に進んでいるように見受けられます。翻って、日本企業はこのような国の取り組みに頼る、監督官庁に言われた以上のことはしない、業界横並びの意識ではなく、自助、共助について改めて考えて、能動的なセキュリティ対策へ行動変革することが自組織を守る近道となるのではないでしょうか。

本ブログでは一部を切り取ってのご紹介に留まっていますので、ご興味のある方は原文を一読ください。

◆参考文献

Cyber Capabilities and National Power(IISS):

https://www.iiss.org/blogs/research-paper/2021/06/cyber-capabilities-national-power

 

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Cyber Capabilities and National Power -3- (いぎりすのやつ)

Cyber Capabilities and National Power -3-

「Cyber Capabilities and National Power」を読んでみるシリーズ第三弾です。

# ちなみに、弊社内の一部では本レポートを「いぎりすのやつ」と呼称しており、原題を忘れがちです。。。 

 

今回は、以下のカテゴリを見ていきます。

◆Governance, command and control <ガバナンス、指揮統制>

◆Core cyber-intelligence capability <コアサイバーインテリジェンス機能>

◆Cyber empowerment and dependence <サイバー活用と依存>

 

Governance, command and control <ガバナンス、指揮統制>

この章では、ガバナンスと指揮統制に関わる文書と組織について述べられています。

2015年にサイバーセキュリティ基本法が施行されたこと、それに伴ってサイバーセキュリティ戦略本部やNISC(内閣サイバーセキュリティセンター)が発足したこと、また、2018年の改正に伴って、政府、民間部門、学会全体でサイバーセキュリティ関連の情報を交換、協力するためのサイバーセキュリティ協議会が設立されたことに言及されています。

そのほか、2014年に設立された自衛隊におけるサイバー防衛隊が、時を経て人員を拡大している点にも言及されています。

国の施策として、前の章の<戦略と基本原則>で言及されていた文書に基づいて、法整備、組織体制についても着々と整備、拡充されていることが伺えます。

◆Core cyber-intelligence capability <コアサイバーインテリジェンス機能>

この章では、日本固有とも言える問題について言及されています。

For a variety of political reasons, including the constitutional arrangements put in place after the Second World War, Japan’s intelligence organisations are small and underfunded in comparison to those of other states of similar size. For example, Article 21 of Japan’s constitution severely limits the extent to which the government can collect signals intelligence and consequently conduct cyber reconnaissance.

抄訳「第二次世界大戦後に施行された憲法上の取り決めを含むさまざまな政治的理由により、日本の諜報機関は他の同様の規模の国に比べて小規模で資金が不足しています。たとえば、日本国憲法第21条 は、政府がsignals intelligenceを収集し、その結果サイバー偵察を実施できる範囲を厳しく制限しています。」

所謂、通信の秘密問題ですね。

「日本国憲法第21条② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」

Overall, Japan’s indigenous cyber-intelligence capabilities are embryonic, with the country largely reliant on key international partners, especially the US, for its cyber situational awareness and its development of intelligence capabilities.

抄訳:「全体として、日本の固有のサイバーインテリジェンス機能は初期段階にあり、サイバー情勢認識とインテリジェンス機能の開発については、主要な国際的パートナー、特に米国に大きく依存しています。」

国としての様々な理由によりサイバーインテリジェンス能力は低く、米国への依存度が高い。という結論です。サイバーセキュリティ関連の文書、組織整備はできるところから地道に実行していますが、やはり最後の部分ではアメリカに頼らざるを得ないのが現状というところでしょうか。

◆Cyber empowerment and dependence <サイバー活用と依存>

続いて、サイバーといいますかITの活用状況という方が近いかもしれませんが、民間を含めたサイバー活用状況について言及されている章です。

この章では、まず、国際通貨基金の2019年の調査結果として国のデジタル経済がGDPの49%を占めている点(アメリカ60%、中国30%)と、2020年のFortune「グローバル500」に上がっている通信またはテクノロジー企業51社のうち、アメリカの企業が16社で、日本の企業が10社で2位を占めている点が報告されています。続いて、産業用ロボットや半導体の優位性、インターネット環境が国産企業によって保たれている点などが言及されています。

良い点ばかりのようですが、残念ながらこの後は皮肉交じりの言及が続きます。

Japan is currently lagging behind many other members of the Organisation for Economic Co-operation and Development (OECD) in terms of technological productivity, with an OECD survey suggesting the country needs greater investment in skills and digital competence – ‘particularly for middle-aged and older workers’ – in order to close the gap.

抄訳:「日本は現在、経済協力開発機構(OECD)の他の多くのメンバーに技術的生産性の点で遅れをとっており、OECDの調査によると、日本はスキルとデジタル能力のギャップを埋めるために(特に中高年の労働者のために)より大きな投資が必要であることが示唆されています。」

There is widespread concern about the digital divide between the younger and older generations – a situation illustrated in particularly embarrassing fashion for the government in 2018, when the minister responsible for cyber security was forced to admit he had never used a computer.

抄訳:「若い世代と古い世代の間のデジタルデバイドについては幅広い懸念があります。サイバーセキュリティを担当する大臣がコンピューターを使用したことがないことを認めざるを得なかった2018年、政府にとって特に恥ずかしい状況が示されました。」

In the field of AI, Japan is competitive. It was placed ninth, for example, in a study that ranked the top 50 countries based on their contributions to the two most prestigious AI conferences in 2020. Japanese companies are very active in AI research, with nine of them featuring in a list of the world’s leading 100 companies in that regard, compared with six from South Korea and none from India. Nevertheless, the aggregate contribution that Japan’s industrial sector makes to AI research still falls behind that of South Korea.

抄訳:「AIの分野では、日本は競争力があります。たとえば、2020年に最も権威のある2つのAI会議への貢献度に基づいて上位50か国をランク付けした調査では9位になりました。日本企業はAI研究に非常に積極的であり、そのうち9社が世界をリードする100社のリストに掲載されていますが、韓国は6社、インドは1社もありません。それにもかかわらず、日本の産業部門がAI研究に与える総貢献は、依然として韓国の貢献に遅れをとっています。」

中高年のデジタルスキルの問題は、ことIT業界内で言えば、黎明期から業界を支えている中高年の方がスキルが高く、若年層の方がむしろスキルが低い。という意見もありますが、やはり広く一般社会を見ると、指摘はもっともかなと思えます。
2018年の件は敢えて触れたくないことですので割愛し、AIの分野での産業部門での貢献の低さについては、AIに関わらずどの分野でも新しい領域では日本でよく起こる事象のように思えます。

いかがでしょう。国の文書や組織整備についてはスピード感は別として着々と進んでいると読み取れます。しかし、民間企業やIT活用についての言及は耳が痛い指摘ではないでしょうか。収集、分析した情報に対して若干のスパイスをいれて報告しているIISSというイギリスの調査機関の調査能力とともに、レポートが読み手を意識して記載されていることも伝わってきます。本ブログでは一部を切り取ってのご紹介に留まっていますので、ご興味のある方は原文を一読ください。

長くなりましたので、今回はここまで。
次回、本シリーズの完結編として以下の章について詳細に見ていきます。お楽しみに!

◆Cyber security and resilience <サイバーセキュリティとレジリエンス>

◆Global leadership in cyberspace affairs <サイバー空間における問題に対するグローバルリーダーシップ>

◆Offensive cyber capability <攻撃的なサイバー機能>

 

◆参考文献

Cyber Capabilities and National Power(IISS):

https://www.iiss.org/blogs/research-paper/2021/06/cyber-capabilities-national-power

 

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