AUTHOR
Kumar Ritesh
Chairman & CEO
製造業からサービス業へのシフトといわれるほど大変革の自動車業界。クルマは、デジタル化と接続性の向上によって技術革新をむかえています。
GPS通信、Wi-Fi、高度な情報システムとアプリ、車同士の通信、事故回避機能、コンピュータ操作のパワーステアリング、インテリジェントパーキングアシスト、クルーズコントロールなど、様々な新技術は消費者にとって便利で手放せない機能です。
しかし、インテリジェント・ビークルには、ダークサイドが存在します。ハッカーにとって広い攻撃ポイントを提供してくれるため、通信システムからメーカーやベンダーのサプライチェーンに至るまで、車両のセキュリティーやエコシステム全体を危険にさらす可能性があります。
サイバー攻撃者にとっては接続されている全てをハッキングできます。つまり、大量の車両を使い、多くの選択肢から、多くの突破口から、最終的にはより大きなエコシステムを狙うことができるのです。
従来ハッカーは、電子制御装置に直接コンタクトしてクルマの機能などを停止させることができました。今では、クルマと繋がっているスマートフォンをハッキングするだけで、車両全体をコントロール可能になっています。
私は、スマートカーの台頭が、自動車産業を混乱させサイバーセキュリティ分野にも影響が出ていると考えています。主に4つの傾向がみられます。
1.接続性が向上し、リモート攻撃の拡大につながり、ハッカーが簡単に車両に侵入する可能性がある
2.ハッカーが狙う可能性のあるコンピュータシステムを増大させる自動運転
3.電気自動車やハイブリッド車によって、重要な電力インフラ(充電スタンド用の電力網など)への依存が高まり、セキュリティ機能の強化が必要
4.オンデマンドモビリティやMaaSにより、ドライバーや乗客の個人情報へのアクセスが容易となり、IDなどの盗難につながる
急速な技術の進歩は、車両のレスポンス、エンターテイメント、データ駆動性を向上させるだけでなく、 外部インフラへの依存度も高まっています。 その結果、サイバーセキュリティの懸念は、クルマを超えてエコシステム全体に及ぶのは明白です。
モバイル通信、旅行や乗客情報管理、都市交通管理、スマートスキャン、スケジュールおよび位置管理、車間通信および料金管理 – すべての車両が外部エコシステムに依存しています。
メーカーと管轄する当局にとって、重大なのは、自社のクルマや自社の環境を保護するだけでは問題が収集できないことです。サイバーセキュリティ対策を実施するために、クルマにつながる全てのエコシステムと関連する全てのプレイヤーが協力し努力することが必須です。